先物取引
デリバティブ取引のひとつとして「先物取引」があります。これは、簡単にいうと将来の売買についてあらかじめ現時点で約束をする取引をいいます。取引の対象となるのは、株はもちろん大豆や金など実物のほか、株価指数を対象とした先物取引もあります。
こちらのページでは、先物取引の仕組みや種類、メリット・デメリットについて解説していきます。
先物取引の仕組み
先物取引は日経平均株価指数や金・プラチナなどの商品の値動きなどに着目した証拠金取引のことをいいます。買いからも売りからも取引を始めることができるという特徴があり、下落局面においても収益を狙っていくことが可能です。原則として受け渡し代金を全額用意しなければならない株式の現物取引とは異なり、少額の資金「証拠金」から取引を始めることができるという点も大きな特徴の一つです。元の資産「原資産」について、将来の決められた日に決められた価格で売買することを事前に約束する取引となっています。
必要証拠金
先物取引を行う際には証拠金という資金を差し入れて取引を行います。取引において必要となる最低資金を「必要証拠金」といい、一定の算定式に当てはめて算出される金額が求められます。また、必要証拠金のほかにも基本証拠金や最低維持証拠金などが存在します。注文単位や証拠金の金額に関しては取り扱う銘柄や商品によって異なりますので、先物取引を行う際には確認しておくようにしましょう。
追加保証金(追証)
先物取引を行っている際に、営業日における日中立会終了時の「受入証拠金」が「最低維持証拠金」を割り込むと追加証拠金(追証)が発生することになります。この追加証拠金が発生した場合には速やかに入金を行う必要があり、定められた期日までに証拠金への振替を行わなかった場合には反対売買により決済されてしまう可能性があります。そうなるとその時点での損益が確定してしまうので、思わぬ損失が発生することになるでしょう。
取引できる期間が決まっている
先物取引は、特定の商品(原資産)について、将来の決められた日に現時点で取り決めた価格で売買することを事前に約束する、という取引です。約束した期日を迎えると、あらかじめ約束していた金額で決済を行います。例えば株取引の場合は、企業が倒産しない限りは株式を保有する期間に限りはありませんが、先物取引の場合には取引できる期間が決まっている点が特徴です。すなわち、先物取引においては期間内であればいつでも売買できるものの、期限が来ると自動的に決済が行われる、ということになります。
指数先物取引との違い
先物取引にはさまざまな種類がありますが、その中のひとつである指数先物取引は、TOPIXや日経平均株価など株価指数を取引対象としたものです。東証のTOPIX先物や、大証の日経平均株価先物が代表的なものとして挙げられます。
先物取引のメリット
資金効率が高い
先物取引の最大のメリットとして挙げられるのがその資金効率の高さです。取引金額に対して少ない証拠金で取引を行うことができるようになっていることから、少ない元手で大きな利益を狙いにいくことが可能です。取り扱う銘柄などによっても異なりますが、一例としては約定代金が証拠金の約20倍にもなるケースがあるほどです。
売りから取引ができる
先物取引では相場の先行き下落を予想する場合において新規に売り建てを行うことが可能であり、予想通り相場が下落した場合には売建玉を安く買い戻して値下がり分を利益として受け取ることができます。信用取引でも同じように個別銘柄を空売りする手法がありますが、そもそも空売りのできない銘柄や逆日歩などの余分なコストが発生する可能性があります。
先物取引のデメリット
リスクの高い取引である
近年身近になっている投資の多くはリスクの低さと安定性を売りにしたものが多くなっています。しかし先物取引は大きなレバレッジをかけて行う取引であることから、差し入れた証拠金以上に損失が大きく膨らむ可能性があります。一般的なインデックス投資などに比較するとハイリスク・ハイリターンであるという特徴がありますので、一定のリスクは認識しておく必要があります。
長期保有に向かない
先物取引を行う場合には、送品の取引に期日の設定がされることになります。期日まで保有していると自動で決済されることになりますので、長期的に保有することが出来ないという点はデメリットの一つとなるでしょう。株式投資や投資信託は期日がありませんので、自分が好きなタイミングで売買することが可能です。
先物取引の種類
先物取引は、「商品先物」と「金融先物」の2種類に分けられます。ここでは、それぞれの概要についてご紹介していきます。
商品先物取引とは
商品先物取引では、さまざまな「商品」を対象とした取引が行われます。この取引の対象となる商品には下記のようなものがあります。
- 原油
- 金
- トウモロコシ
- 大豆
- 電力
- ゴム など
このように、商品先物取引ではさまざまなものが対象となりますが、原油は「1リットル」、金は「1グラム」などのように商品の種類によりさまざまな単位で売買が行われます。また、商品により証拠金の金額が異なる点も特徴といえます。
金融先物取引とは
金融先物取引とは、その名の通り金融商品を対象とした取引を指します。例えば下記のようなものが対象となります。
- 株価指数(日経225先物やTOPIX先物など)
- 債券(中期国債先物、長期国債先物など)
- 外国通貨(米ドル、ユーロなど)
- 金利(ユーロ円3ヵ月金利先物)
このように、債券や東証株価指数(TOPIX)などさまざまなものがありますが、上記のように4種類に分けられます。
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