スワップ取引
「投資」と聞くと、どうしてもネガティブなイメージを抱く方もいるのではないでしょうか。そこでこちらの記事では、デリバティブ(金融派生商品)のひとつである、スワップ取引に関する基礎知識を解説していきます。
スワップ取引の仕組み
もともと「スワップ」とは「交換」という意味を持つ言葉です。スワップ取引とは、経済的な価値が等しいキャッシュフローについて、あらかじめ取り決めた条件に従ってお互いが交換する、といった仕組みの取引を指します。デリバティブのスワップ取引においては、将来にわたって発生する利息が交換されます。
スワップ取引には、同じ通貨で異なるタイプの金利を交換する「金利スワップ」や、異なる通貨の利息などを交換する「通貨スワップ」「クーポンスワップ」などさまざまな種類があります。どのようなものがあるのかを簡単に見ていくことにしましょう。
金利スワップ
同じ通貨で異なるタイプの金利を交換する取引を「金利スワップ」と呼びます。これは、変動金利と固定金利の交換が最も典型的であるといえます。スワップ取引の代表的な例がこの金利スワップ取引となっています。
例えば、金利スワップの例として、固定金利債務を抱えている人と、変動金利債務を抱えている人がいたとします。この2人が互いに合意のもとで支払う金利のみを交換して、相手の金利を支払うというものがあります。
通貨スワップ
「通貨スワップ」とは、異なる通貨の間において将来の金利と元本を交換するスワップを指します。ドル金利を受け取って円金利を支払うといったような形です。
ドル建て債権を購入した場合には、利息と償還原本がドル建てで支払われることになりますが、為替の変動リスクがあります。このような場合に通貨スワップを行うことによって、円建ての債権投資を行った効果を生み出せるようになります。
クーポンスワップ
元本交換を行わない通貨スワップを「クーポンスワップ」と呼びます。こちらでは、将来にわたり異なる通貨の金利のみの交換を行います。
スワップ取引を使った金融商品
リバースフローター債
スワップ取引を使用した金融商品の例として、「リバースフローター債」があります。クーポンが変動金利建ての債権を「フローター債」と呼んでいますが、「リバースフローター債」とは、受け取るクーポンの額が市場金利における変動と逆の方向に変動するように設計が行われているものを指します。
この商品の場合、金利が低下すると投資家が受け取る利息の額が増加し、逆に金利が増加すると受け取る利息は減少することになります。この点から、金利が低下するという見通しを持った投資家にとっては魅力的な商品であるといえます。
リバース・デュアル・カレンシー債
「リバース・デュアル・カレンシー債」は、発行と償還は円で行われるものの、途中の利払いが外国通貨(ドルなど)で実施される債権を指します。
投資家にとってはクーポンが高い点は魅力的であるものの為替リスクがあるという面もあります。ちなみに、「デュアル・カレンシー債」の場合は償還が外貨建てで行われます。この点から、デュアル・カレンシー債と比較するとリバース・デュアル・カレンシー債の方が為替リスクは小さくなります。
投資は深い理解と知識が必要
こちらの記事では、スワップ取引についてご紹介してきました。冒頭にも述べたように、「投資」と耳にするとどうしてもネガティブな印象を持ってしまう方もいるかもしれません。投資を行うには、まずは深い知識と理解を得ることが大切です。リスクについても認識した上で、適切な取引を行っていくことがポイントとなるといえるでしょう。
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